06152021｜海を超えて話す
0615 (火)
ここ最近の朝はとても暗くていつも通り7時に起きても家中は真っ暗だし、空は灰色に曇っているしなかなか起きられない。最近、6ヶ月になって少し我が家にも慣れてきた犬をベッドの下の方で一緒に寝られるか試しているんだけど難しい。眠りが浅い上にどうしても人にくっつきたがるから寝返り打とうとすると踏み潰しそうになるしヒヤヒヤしているから人間の方も深く眠れない。今日はひとまず自分のお家に戻ってもらう。ベッド大好きっ子になりつつあるから少し鳴くかもしれないけど。
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午前中は原稿の校正と参考文献のチェックに取り掛かって、気づいたらもうお昼を過ぎていた。書き終えてからのこの時間が好きで嫌い。形はできているので細かい部分を修正したり前後を編集したり画像を選んだりなので音楽を聴きながら緩やかに取り組める部分ではあるんだけど自分の力量のなさに絶望しながらうううって心の中では唸っている。なんとか終わらせてお昼を食べていると犬がぐるぐるリビングを走り回っていた。人が食べ物を食べていると何かと同じ空間にいたがる不思議な犬。
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午後から久しぶりに友達とキャッチアップ。お互いの似たようで異なった環境は一応海を超えた会話だけど同じ南半球にいる存在として日本よりも近い気がする。就活とか言葉の難しさとか近況報告とかであっという間に夕方になっていた。人と話しているときって時間の流れの測り方が変わる。自分の感覚と外の時計が刻む時間の間にタイムラグができて、自分ではまだまだ話せるのにもう数時間経っていたり、同時にすごくたくさん話したようでまだ少しししか時間が経っていなかったり。これは相手の話がつまらないとか気の合う合わない云々はなく人との会話には自分の世界にはない違う時間の流れが立ち上がる、と言うことだと思う。そんなことを最近いろいろな人と話しながら思っている。
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ニュージーランドに来てちょうど5年が経った今日、居住ビザがおりた。3年前はワーホリして日本に戻ろうと考えていたのに人生何が起こるか分からないとはこういうことで。気がついたら大学3年目で渡航して5年が経っていた。こうして同じ場所にこんなにも長く暮らしたのは初めてで、でも同時にこの期間はたくさんのことが起こっていてとてもじゃないけど5年前の自分からは想像もしなかったようなところにいる気がする。自分の人生を改めて振り返ってみると一見すごく遠回りばかりでいろいろな環境的要因に振り回されて生きてきたみたいなんだけど私の中身を見てみるとなんだ、自分の行きたかった場所にいるじゃないって思えたりすることがあったり。自分が自分の存在と人生を少しでも肯定できることが本当の自信につながっていくのかもしれない。そんなことを考えたり。
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りょうちゃんとここ数日続けている交換日記が私の心に静けさをもたらしている。誰かへ向けて書く言葉と自分のためだけに書く言葉はこんなにも違うのか、と誰かに書かれた文章を読むみたいにお互いへのやりとりを読み直している。続けていけるといいな。
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06142021｜編み物を始めた
0614 (月)
週末はあっという間に過ぎ去って世の中の月金の感覚に飲み込まれていることに少し嫌気を差しながらも月曜日が始まった。今朝予定されていたインターン先のミーティングは私のマネージャーにあたる人が家の事情でオフィスに来られないということで延期になった。後期が始まるまでになんとかプロジェクトの詳細を立ち上げればいいので焦ってはいない。とりあえず返信のメールをしてコーヒー豆を買いに行く。近所にはいくつかコーヒー豆が入手できるところがあるけどひどい天気だったので一番近いところに行く。元々倉庫だったみたいな空間に焙煎機がドンと奥の方に置いてあって手前にカウンターと二人掛けの席が4つくらい並んでいる。豆を頼んでフィルター用に挽いてもらって持ち帰り用にロングブラックを淹れてもらう（ダブルショットのエスプレッソに好きなだけのお湯）
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帰ってきて午前中は記事を書く。久しぶりのテスト記事を書いているけどあまり興味がないなと思ってしまうものもあって仕事として割り切れるのか、私は多分ライターには向いていない。技術と仕事への姿勢と呼べるものを持ち合わせていない。とりあえず書き終わって見直して午後はほとんど編み物をしていた。日曜日に街の中心部にある毛糸屋さんに行って初めての編み物なんですけど...と言ったらこれとこれねって選んでくれてあとは型もくれた。何度もYouTubeを止めて再生してっていうのを繰り返していたからいつの間にか夜になっていた。間に何度か座って記事の下書きを書き直して、そうしたら一日が飛んでいった。
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りょうちゃんと始めた交換日記が返ってきてた。りょうちゃんからの文章は読んでいてもりょうちゃんの声が聞こえるみたいですごく不思議。人によっては書き方にすごくその人らしさが出ているのを感じる時があってりょうちゃんはそんな人の一人だと思う。D-Radioを聞いた後に読んだから余計に色々思うところがあって最近の思考回路はノンストップでたくさんのことが一気に駆け巡っているみたいで少し熱い。呼吸法でもして心と脳を静めたいと思うのだけどなかなか難しい。呼吸法に取り組むと手順通りにやろうとして余計に力んでしまうのでいつも逆効果。もっと簡単に心身を静める方法を模索したい。
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よしもとばななさんの鳥たちを読み始めた。心がぎゅっと痛くなる。同時進行で「利他」とは何か、独学大全とクララとお日さまを読んでいる。そういえば昨日久しぶりに訪れたお気に入りの本屋さんで川上未映子さんの乳と卵、ヘヴン、村田沙耶香さんの地球星人が表側に積んであってとっても嬉しくなった。現代日本作家の（しかも二人とも私のお気に入り）本がニュージーランドの本屋で平積みされる時が来るなんて。
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本屋の本が全部欲しい。
06122021｜死火山を登る
0612 (土)
今日は土曜日なので寝坊をする。昨晩は久しぶりに読んでる小説に引き込まれてすっかり真夜中を過ぎた頃に眠りについた。朝が久しぶりにいつもより明るくてまだまだ冬の道のりは長いけど少しだけ心が晴れた。朝ごはんを食べた後、静けさの宿る家で（同居人が外出していたので）好きなだけ本を読んで文章を書く。人がいたり予定があったりするとどうしても色々な雑用が中断が起きるのでどっぷりと浸かることができない。これができるようになるのもひとつの技なのかもと思ったり。りょうちゃんと始めることにした交換日記の最初の記事を書いていたらあっという間に朝は午後になっていた。家の隅の埃が気になって掃除機をかけてたら犬が相変わらず怖がっているのか興奮しているのかでぴょんぴょん跳ね回っていた。
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午後はリュックに水と犬のおやつを携えて犬と長めの散歩に出た。まずは近所のカフェでコーヒーとお昼と食べていた。外にいると隣のカップルの足元に勝手に寄って靴を舐めていた。失礼。店員さんからおやつと水をもらって、撫でてもらい嬉しそうだった犬。今までは他の人間を怖がっていたのに急にみんな友達になったみたい。
カフェを出て歩いて30分くらいのところにある大きな死火山、マウントイーデンを登る。頂上の真ん中には大きな噴火口跡があってその周りをぐるっと囲むように道がある。噴火口はとても深くて緑が生い茂っている。オークランドを360度歩きながら見られる。改めてこの街の大きさを知る。ドッグランがあるという場所をやっと見つけて（この間は見つけられなかったので）少しだけ走り回る。大きな犬がたくさんいたのが少し心配で早めに出てきた。しばらく頂上で休憩して風を浴びていた。こんなに晴れたのは久しぶりでたくさんの人たちが写真を撮ったり、散歩したり、ランニングしていたりした。あちこち犬がいて私の犬にとっては今までで一番たくさん他の犬に会った日だった。
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途中でiPhoneを取り出して動画を撮る。RAUの『崩れ』に呼応するような場所はないかなとか、噴火口の辺りを撮ってみた。あとで何か面白い発見があるかもしれない、と。
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今から映画を観に行くので犬に夕飯をあげた。生活が犬を中心に回り始めた変化を今も不思議に他人事のように思いながら実行する。週末を楽しみにする人生もいいけど毎日に少しでも自分の幸せや好きが入っている日の方がいい。そんなことを思いながら土曜日もまたあっという間だった。
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