空っぽの朝

 

明日がもっと静かになったらいいのに
もう誰も起きない 誰もカーテンを開けない朝

日差しはひとりで空っぽの街に降り注ぎ
窓の開かない箱みたいな家たちは本当に箱になってしまう

心臓は静かに動いているけどそれはとてもゆっくりで
微かに鼓動は感じられるけど生きていると言うほどではない
でもまだ口元に耳を当てると囁きみたいな呼吸が聞こえるから

これは死ではない
生きていないけど死んでもない

そんな狭間に存在する人間たちは存在しているんだけどもういない
風と踊ることもなければ歌を歌うこともない
愛しているよと隣に横たわる人に言うこともなければ
憎んでいる人を殺めることもない

信号はひとりで勝手に青になったり赤になったり
でもその道路を通る車はどこにもいなくて

みんな、この地を去ってしまったみたい
まだいるんだけどね
もういないみたい


mugiho