やけに静かな心臓と

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やけに鼓動の音が静かだ、と思う。

自分はこの世界に存在していないのではないかという衝撃的な事実が降ってきて私は心臓発作の一歩手前で立ち止まる。右手を左胸の下に当てて。右手で左手首の青い線を探して。両手で首をつかんでみる。

 

聞こえる。

 

そんな当たり前のことを日常的に確認しなければ前へ進むことができない。

こうして日々の中に突然と現れる現実という(もしかしたらハリボテかもしれない)世界をひとつひとつ確かめていかなければ自分の呼吸さえもすることができない。

 

なぜ。どうして。

すべてに対するすべての問いを抱えて。

 

人と人が行き交う街はもはや人間の住む場所ではなくて、流れていくたくさんの何かが一箇所に押し込められる場所。そしてそれは一瞬の密度を保ってからまるで蜃気楼のように遠くへ消えていく。

 

街は所詮そんなところだ。

相手は意識が集合知として稼働している「社会」だ。

そんな中で自分の心臓の音なぞ聞こえるはずもない。

 

と言い聞かせながら夜を鏡に帰路につく。

 

 

mugiho