見えない場所、聞こえない言葉。

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Fire tonight in Greenpoint

 

見えない場所でなにをしているのか。

まだどこにも辿り着けない自分は毎日をどう生きているのか。

人に認めてもらいたいんだという叫びを押し殺しながらそれでもなんとか平静を保って日常を送っていくのに良い悪いもなくて、そこにあるのは自分の心の感じ方だけなんだ。

 

自分が歩いて来た道を振り返ってみるとなんて、なんて遠回りをしてきたんだと思う。

そしていまもまだこうしてどこにも行けない自分がいて、周りを見つめるといま立っている場所は途方もなく遠くてどこでもないどこかで比べながら落ちていく心をどう受け止めればいいのか。

 

 

それでも大丈夫、と言うのは簡単かもしれないけれど実際にその道中にいる人間にそんな気休めみたいな言葉は届かない。そこにある刺すような風の痛みとか晴れない霧みたいな迷いとかそんな中を彷徨う人たちにはなにを言えるのだろ。

 

聞こえない言葉は強い。

言葉にならないことに胸が満たされたとき人は、言葉との関係をもっと深める。文字があるその奥には、言葉にならない呻きがある。そう思って誰かの文章を読んでみる。書かれていないはずのことが、まざまざと心に浮かび上がってくるのに驚くだろう。奇妙に聞こえるかもしれないが、言葉とは、永遠に言葉たり得ない何者かの顕現なのである。

 『言葉の贈り物』若松英輔

 

そんな言葉たちを言葉の間に探しながら。

 

 

mugiho