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字に滲み出るなにか

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書くことが大嫌いだった大きな理由のひとつに「字が下手」だからというものがあった。いまでもこれには結構悩まされてしまう。日本語も英語も同様に下手だ。見た目が崩れている?要するにバランスが悪いのだろう。

 

それは元々の感覚の問題なのか遺伝なのかさっぱり原因はわからないが、小学校からずっと言われ続けてきた。習字の時間は苦痛だし教室の後ろの壁にずらっと同じ文字を書いた半紙が並べられるのが嫌でたまらなかった。

 

下手な字は逆に目立つのだ。

紺色の台紙の上をペラペラはためく字たちはとても寂しそうで、自分の字だけそのまま飛んでいけばいいのにってよく思っていた。

なんだか変。遠くから見ても一目瞭然でわかるのだ。

 

字なんて所詮道具なんだからと思ってきたけれど時々無性に自分の書いた字を眺めては絶望してしまう。もう少しコンパクトだったら。もう少しすらっとしていたら。考え始めるとキリがない。

 

それでも毎朝書くのだ。

ノートを開いてこの下手な字で書き連ねる。

その時の至福は変えがたい自分の思いや考えが物理的に空間に存在する瞬間であってもうそれだけで胸が高鳴ってくる。字は上手い下手に関係なくそこに人の心が乗り移るのだと思う。そうでなければ手紙とメールであんなに喜び様が変わるわけがない。

 

そう、手書きは一度書かれたらそれはもうひとつの命として動き始めるのだ。

今夜も明日の朝もペンを右手に持って紙の上を滑って滲んでいくインクに思いが染み込んでいく。

 

mugiho