海へ行こうよ。

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自分はどんな風に生きてきたんだろう。

これからどこへ向かっていくのだろう。

そんな不安と疑問が浮かぶ夜は金曜日。

 

一週間は終わって、体と心にムチを打ちながら何とか行き終えた学校と。

週末に待っている職場と。二ヶ所を行き来するだけの退屈さと疲労と孤独。

そこには抜け殻のようになった自分の影が落ちている。

 

こんな状態でもなんとかなんとか過ごしていられるのは音楽があって。

映画があって。読む本と書く言葉が待っているから。ただそれだけ。

たったそれだけ。それだけ、がどれほどか細いこの心を支えることができるのか。それは誰にもわからなくて、本人にしか分かり得ないことで。

 

でもその支えのピースみたいなものは人それぞれに存在していて、私の場合はたまたまこれらのことだったということ。

 

海へ行きたい。

久しく海へ足を運んでいない。と思っていたらつい先日ひとりで海へ行ったんだった。家から歩いて20-30分くらいのところにある人のまばらなこの砂浜は潮が引いてあまり時間が経っていないのか、座るとまだかすかに湿り気があって、でも容赦なく注がれる陽の光に眩しそうにしているその地面に私は座りたくて仕方がなかった。

 

最初は並んでいるゴツゴツした岩の上に座っていたところから地面に腰を下ろすと、一気に風景が変わった。遠くに見えていたと思っていた海が、座った途端に目の前に迫ってきた。たった数センチの違いで、こんなにも見える世界は変わってしまうのかと震えた。

 

波のリズムはとても規則正しい。

その上を舞うカモメたちはまるでバラバラでなんて自由なんだ、って。

風に煽られるようにして大きくなったり小さくなったりする音は目をつむって聞いていると音と空間の境目が見えなくなって、ああ呑み込まれていくという一瞬の怖さを味わう。急いで目を開けてしまうのだ。よかった、まだ陸地にこうして存在している。確かめるようにして地面に手で触れる、生温かい。生きているみたいで、なんだか少し気持ち悪いなと正直な感想を持ちながら。

 

ノートを開けて書き始める。

この砂浜からは向こう岸にかつての火山島が見える。そして島の灯台がこの砂浜から真正面のところに立っている。その灯台を見るたびに自分の中に浮かび上がる物語があった。いつも見るたびには思い出すけれど、すぐに忘れてしまって。だから今日は書こうと。ペンを持って少し伸びた髪が風に吹き飛ばされるのをも忘れて、穴が開くように照りつけるようになった太陽と格闘しながら書いた。走るように流れるペンと、その空間と私の手の隙間を笑いながら駆け抜けていく風。

 

終わった時、太陽は大きな雲の塊に隠されていた。

少し静かになった空間には夕方の散歩にやってきた人たち、犬たちで結構混んできていた。時間が止まったみたいに穏やかで、時計を確認したくなる。

 

立ち上がってみるとジーンズやカバン、洋服にまで砂が張り付いていた。

降ってきたのだろうか。

 

帰ろう。

 

mugiho