光を求めるのならば

 

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暗闇の中を歩いているとき、そこには前も後ろもなくて上も下もない。

過去未来なんて概念は消えただそこにいる自分までをも見失わないように

自分の呼吸を確認して、心臓の鼓動を聞いてそしてゴールも成功もない

自分の中だけの「前」に進んでいく。それは自分だけが存在する場所。

 

 

光があれば影があります。

明かりがあれば暗闇がある。

それらの関係は表裏一体であり切り離せないもの。

光にこんなにも惹かれる自分はきっと同じくらいに暗闇にも惹かれている。

村上春樹のねじまき鳥のクロニクルで主人公が深い井戸の中に入る。この

物語では井戸がとても重要な役割を果たしているのだが彼がその井戸の中に

入ったとき、そこに存在したのは恐怖。静けさ。自分以外には誰もない。

自分がそのまま空気に溶けてしまいそうだと書かれていた。(気がする)

つまりそれは自分自身が暗闇と同化することによって自分の暗闇をみると

いうことなんだろうかとわたしは思った。わからない。

 

自分は時々、光を求めていると同時に無性に暗闇について考えたくなる。

小学生くらいの頃、とても短い間(それこそ数時間)京都に寄ったときに、

清水寺に行ったのだがあまりにも混んでいてさっさと切り上げてしまった。

そしてその近くにあった(同じ敷地内か?)お寺の

地下の暗闇を歩くというものに母の提案で参加した。

 

「胎内めぐり」(たいないめぐり)を体験随求堂(ずいぐどう)では、お堂の下を大随求菩薩の胎内に見立てた、胎内めぐりが体感できます。真っ暗の中を、壁に巡らされた数珠を頼りに進み、この菩薩を象徴する梵字(ハラ)が刻まれた随求石を廻して深く祈り、再び暗闇の中をたどってお堂の上に戻ってくるというもの。 

http://www.kiyomizudera.or.jp/info/info05.html

 

ここを歩いたときに最初に襲ってきたのは恐怖。

このままこの暗闇の中で数珠から手が離れてそのまま一生ここを彷徨い続ける

のではないかということで頭がいっぱいだった。しかし少しずつ歩いていると

だんだんと慣れてくる。ここは本当に真っ暗闇で寸分の光もない状態の完璧な

暗闇だ。でも不思議と恐怖よりかは自分ってどこにあるんだろうかとふと思った

瞬間でもあった。もしかしたら記憶の捏造かこじつけかもしれない。それでも

あのとき歩いたあの暗闇がなぜだか頭から離れなかった。なんでだろう。

 

暗闇に身を置くと静けさに囲まれ、方向がわからなくなりそれこそ宇宙の

ど真ん中に放り出されたようなどしようもない恐怖と虚無感が襲う。でも

私たちが存在しているこの宇宙、地球自体の存在だってそれこそ真っ暗闇に

ぽーんと放り出された小さなものではないか。もちろん何十億人という個人が

こうして地球上に暮らしているわけだけどそれはもうそれこそ宇宙のスケールから

したら点の中の点の点でしかないわけだ。それなのにこんなに威張って、

自己を主張して、周りの人を押しのけて傷つけて蔑んで生きていこうとする。

 

暗闇はそんな人類に警鐘を鳴らす。

ちっぽけな存在がそんなに威張るなと。そんな風に人を傷つけるなと。

自分を見つめ直せと。いまこの瞬間の自分と向き合ってみろと。

明日も昨日もない暗闇で考えろ。自分はなんだ。なにをしている。

いま自分の中にあるそのどす黒いものと欲求を真っ直ぐに見つめ認めろと。

でも同時に自分の中にあるものすべてをみてみなさいと。なにがしたい。

どこへ行きたい。本当はどんな風に生きたい。答えてみなさい。と

 

暗闇は鏡だ。

なにもみえなところになにかをみせる。それは普段わたしたちが見て見ぬふりを

している仮面の下にある自分。光と影は善悪ではない。暗闇は悪ではない。

それは自分。光、それも自分。表の世界、裏の世界、いつからそれが善悪で

線引きされるようになったのだろう。結局は両者とも同じ空間に、同じひとりの

人間に含まれているものではないか。だからわたしはこのふたつを強く求める。

 

映画を観るときに求める光への美。

それを映えさせてくれるのは絶妙な影。何故ならバランスの元に成り立つから。

それは結局は同じものなのだ。そこにあるのはひとつの世界に存在する真理。

 

伸びる影の後ろには太陽が照る。真っ黒な髪色は一番に光を吸収する。

それは熱を帯びてわたしたしは水分である汗をかく。冷たさが額をつたり、

それは地面に落ちて熱を持つ大地に飲み込まれる。

その大地は水分の宝庫である植物を育てそしてそれは酸素を提供する。

人間は呼吸する。それによって循環し体温は36℃前後に保たれる。

人は死んだらみんな、冷たくなる。陰陽のバランス。お互いがあって存在する。

人間の内面だっていま言った物質的なサイクルだってみんな同じ。

 

光を求めるのならば同時に暗闇も求めているのですよ。

 

 

muuu