上半期ベスト10を今頃振り返ってみる

 

 

初めて、上半期ベストというものを出してみた。

こうしてみると自分の傾向というか、どんなものが好きなのかみたいのが客観的に眺められて面白い。と同時に私は映画知識も学びもまだまだなんだと改めて思い知った。まだ観ているジャンルにも偏りがあるし何よりひとつの作品にそこまで真剣に向き合えていないのかもしれないと思ってしまったのだ。今年今までに観た作品を自分なりに振り返ってみたけどその中で記憶が混同していたり理解が浅かったり。

 

それでもそのとき、その瞬間に思ったことは記憶していたくて一言でもノートに言葉を綴っていたのがせめてもの救いだろう。それを辿りながら選出してみた。

 

なんていうのか、すごく自分らしいかなと思う。

ドライヴは本当に自分でも驚くくらいにどはまりしてしまった作品でこんなものがあるんだなと映画の魅力と不思議さを体感した。作品から溢れてくる沈黙の奥に潜む人間的な欲望や叫びが聞こえてくるような気がした。トゥモローランドとセッションは一見相反するようにもみえるようでいて根底ではなにか繋がったいる気がしてならない。夢をみるものたちの覚悟と現実、そしてそれに向き合うと決めたときに起こりうる奇跡と結果。

 

アイ・オリジンズは少し詰めが甘いところもありながらSFベストに入るかもしれない。運命とか偶然、輪廻転生というテーマと科学的思考。それらの融合、対立を描いていてものすごく自分の中で考えていたテーマとシンクロしたという点で気に入った。それと映像美に惹かれたというのもある。

 

JUNOはただ純粋に理由もなく好きと言えるもの。Junoのただぶらーんと生きていた日々からの妊娠による心情の変化と彼女の成長の過程が一目瞭然に描かれているところがすごい。それなのにわざとらしさもなく人の成長とか自分の成長ってあんな風に丹念に追っていくことでわかるものなのかななんて思ってみたり。わたしを離さないでとバードマンは儚くて不安定な人間の心情を美しくまとめ上げた作品だと思う。わたしを離さないではSF要素が入っているのにまったくそんなことを思わせない。自然すぎて逆に鳥肌が立つのだ。登場人物の心が痛くて苦しくてそれなのに生きたいと渇望させる。バードマンは最初観たとき本当に自分の心臓が物理的に苦しなったのを覚えている。ラストのシーンでは自分はどうすればいいんだろうとショックに似たような絶望を抱いた。あれを反面教師とでもいうんだろうか。半分は自分と共感するところがたくさんある。でも決してああはなりたくないと心に決める。この作品のロングショットの泥酔感はわたしは好きだ。

 

あと1センチの恋。これはたまに自分の中で大きくランクインする妄想憧れがっつりの作品。リリーコリンズとびきり可愛いし幼馴染イケメンすぎるし優秀すぎるし運命、偶然が素晴らしすぎるし。おい、こんなの現実にないぞ!って突っ込みたくなる妄想炸裂ものです。でもなにに惹かれるって。映像美とイギリスの雰囲気とあとは何より彼らの人間臭い部分。いくら入れ物が綺麗でも彼らは人間なんだと。なかなか届かないお互いの想いとか、人生計画の狂いとか。それでも懸命にハッピーに生き続けるロージーの姿に励まされるし自然と前を向きたくなるんだ。

 

そして音楽もの、はじまりのうた。これも結構自分の中では妄想作品だと定義しているんだけどこれもまた人間臭い部分がいいんだよ。キーラナイトレイがあんなキューとに歌ってしまうのを観るためだけでも価値はあると思う。音楽大好きな自分としてはもうこの作品のリズム感、音楽を通じて繋がるたくさんの人たちをみているとわくわくしてしまう。純粋に楽しいと思えるしサントラが本当に最高。聴きながら夜の街を歩き通したくなります。

 

そして最後、but not the least...Mommy!初のドラン作品で正直これから入るのをどうしようかと思った。でも劇場で観てよかった。母を愛しているのに自分をどうしようもないスティーヴの葛藤と思っているように彼をサポートできないことに苦しむ母、ダイアン。引っ越した先の向かいに住む言葉を発せないカイラの3人の間に起こるドラマ。スティーヴの感情の波が他に波紋し描き出される感情の渦。悲しみ、怒り、喜び。まるで赤ん坊のようにくるくると変わる作品の表情に時には戸惑いながらも自分も共に笑ったり悲しんだりそのままそこにいてここまで人を引き込むことができるのかと感動した。映画技術的にも今まで自分が観てきたもののなかにはない目新しいものもあり知識がないながらも面白いと思った。

 

そしてこのランキング発表後、6月最終日に観に行った「ラブ&ピース」はトップ4以内に入る。今年初の劇場での邦画だったのだが本当に観てよかったと思った。観た時期的にも自分の中でたくさんの感情が蠢いている時だったから余計に感化したのかもしれない。自意識過剰で、自尊心の欠片もないのにプライドとか夢だけ馬鹿でかくて。内外の落差に共感を覚えながら鈴木良一はある新しい道を進み始める。成功とはどこへ辿り着くことなのか。そのために何を犠牲にしているのか。人間の止まるところを知らない欲望。渇き。絶望。どこへ行けば自分は満たされるのか。痛くて辛いのに真っ直ぐでありえないのにリアルで現実で。少し不気味で怖いという印象を抱いたりもした。でも同時に笑えたり涙ぐめるから不思議だ。それを相反するように描くからみえるものがあるのだろうか。これは本当に自分の中でもどこに置いていいのかわからない新しい形、ジャンルのものであった。

 

以上が上半期の私の映画録だ。

残りも好きなように好きな作品を観て過ごしていきたい。