読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

FILM『百瀬、こっちを向いて』

 

f:id:muuu295:20150702191427j:plain

 

百瀬、こっちを向いて。

 

心が締め付けられるのに同時になにか爽やかな風を感じる不思議な心情。

 

僕(ノボル)と百瀬、宮崎先輩とその彼女の神林。

命の恩人である宮崎と幼なじみである僕は彼と百瀬の関係の誤解を解くために

付き合っているフリをすることになる。百瀬は宮崎がまっすぐに好きなのに

正面から向き合えることはない。そして僕はだんだん百瀬に惹かれていく...

再び戻ってきた故郷で思い返す過去の記憶から始まる物語である。

 

人を好きになるって。

こんなにも苦しくて。切なくて。そして誰にもわからない。苦くて一生

忘れられないものになる。美しくて儚くて醜くてそれなのにこんなにも

真っ直ぐに貫く想い。それがこの作品から溢れ出ていた。

ノボルの不器用さや百瀬の心を裏返したような意地悪さ。宮崎の交錯する思い。

複雑でそれで真っ直ぐに誰かを好きでいたいんだ。

 

映像からその想いが痛いほどに伝わってくるのが苦しかった。

百瀬の呼吸。ノボルの視線。情景に照らしわされるみんなの言えないものが

みんなそこへぶつけられているような気がした。百瀬の恋に奔走するどこか

狂気じみたようなそれでいて美しい横顔に照らされる光具合や河原で言葉を

交わすときに風に揺られるススキの音。言葉以上にも他の要素で言葉なんか

よりも大きくて言えないものを表現しているように感じた。

 

そして何度も出てくる百瀬の後ろを振り返る動き。

彼女は誰のことも真正面からみられなくていつも隣に立っていたり前を

歩いていたり。その見えない表情から伝わってくる彼女の言えないもの。

それを彼女自身の動きでみせている。いつも後ろ姿ばかりの百瀬。

なんとも言えない寂しさや彼女のもどかしさを共に感じながらも何もできない。

 

わたしは邦画の恋愛ものはあまり良い思い出がないのでこれも観るのを躊躇

していたのだが予告を観てから頭から離れなかったので遂に今日思い立って

観てしまった。あの頃は確かにそこに存在していたその瞬間を映像化したら

みんなあんな場所に立っていたのかな。あんなに苦しんでそしてそれからの

自分に思っている以上に傷を、跡を残しているんだろうか。

 

今日も一人の少女が、少年がどこかで心を抱えて苦い想いを

人間であるということを、誰かを好きになるということを心に

刻み込まれているのだろうか。それは一生の跡になるだろうよ。

 

 

muuu