【BOOKS】『すべて真夜中の恋人たち』川上未映子
『すべて真夜中の恋人たち』川上未映子
「ひとそろいの実感も手応えもあるから、混乱するのね。
でも信じきれない。だからいったいこれはなんなんだろうって、
何か思ったり感じたりするたびに、そんなあほみたいなことを
思うのよ。感情みたいなのが動くたびに、白々しい気持ちと自分が
何かに乗っ取られてるような気持ちになって---気がついていなかった
だけで、じつは物心ついた時からわたしが生きてきたって思いこんで
いるものは、しょせんそんなものだったんじゃないのかって、まぁ
そんなふうに感じるってことなのよ」 わたしは肯いた。
久しぶりに夜のつめたさをあびたみたいだ。
その言葉は、どこまでも本物で、どこにでも転がっているようなシンプルな
単語の数々なのになんでこんなにも身体中に染み込んでくるんだろう。
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文学が何かわからない人間が文学デビューする
ねぇ、文学ってなんだろう?
幼い頃から本が友達みたいな子供だった記憶があるのだけど、
(実際どうだったのかはよく分からない。いつも微妙な立ち位置
本を読んでいたのか何なのかわからない記憶が多い)
残念ながら読んだのか読んでいないのか、頭が悪いのか原因がなんだか
正直わからないのだけれど、読んだ本を全く覚えていないのだ。
それらしき本を見かけるとおぼろげにイメージが頭の中に浮かぶのだが、
名前とかエピソードとか、その物語の関するものがなかなか出てこない。
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